※写真撮影時のみマスクを外して取材にご協力頂いております。
シェアカリ:以下シ)『オタク女子が、4人で暮らしてみたら。』(幻冬舎) 凄い反響ですよね。お部屋を探すところからリアルに書かれていたので、ルームシェアに興味があるけど踏み込めない、イメージがわかないという方へとても為になる本だなと感じたのですが。
藤谷:以下藤)この数年TwitterなどのSNSを見ていると「オタク同士で楽しく暮らしたい」みたいなツイートがバズっていたりして、価値観が近いけど夫婦や恋人ではない人との共同生活に注目が高まっている空気を感じていました。
その一方で、ハウツーというか、同居人を探して家を借りるところまで触れているルームシェアコンテンツは少なく、自分自身がルームシェアをする際に参考にしようと関連する本をいくつか読んだのですが、「同居人との楽しい暮らし」がメインで初期費用や入居審査などのリアルな話にはあまり触れられていなかったんです。だからこそ、この本には実体験に基づいたルームシェアの始め方を入れたかったんですよ。
目次
シェアハウスとルームシェアの違い
シ)まず初めに、何故ルームシェアをしようと思ったのですか?
藤)ルームシェアを始める1年ほど前までは、当時のパートナーと二人暮らしをしていました。私はこれまでの人生で、実家だったり寮生活だったり、妹との二人暮らしだったりと、一人で暮らしていた期間が短くて。誰かと一緒に住んでいる期間の方が長かったから、一人暮らしが向いてないんじゃないかと自己分析した結果、「ルームシェア」という選択肢が視野に入りました。パートナーと別れた後にふとTwitterを見たら、現同居人の一人のフリーランスの友人が「フリーランスで一人暮らしって将来不安」みたいな内容をツイートしていて。私もフリーランスなので、不安な気持ちがわかったんですよ。将来不安な独り身同士、身を寄せ合って一緒に暮らせたら楽しそうだなと思って。「一緒に住まない?」と、まずはその子を誘いました。
ただ、二人だと何かあった時にお互いに原因を求めてしまい喧嘩になりやすいと、これまでの経験上感じていたので(苦笑)、SNSを通じて知り合った友人たちに声をかけた結果、いまの四人に落ち着いた感じです。
シ)なるほど。今の時代だとルームシェアではなく、既に入居者がいるシェアハウスへの入居という選択肢もあったかと思うのですが、シェアハウスではなくルームシェアを選んだ理由は何でしょうか?
藤)私たちのようなオタクは荷物が多いんですよ。
シェアハウスは既に家具とかが揃っていて身一つで入るイメージがあります。個室が広い部屋も少ないイメージがありますし、リビングなどの共用部に住民だけの判断でに本棚とか置いたりできなさそうじゃないですか。もちろん身一つで入れる手軽さはあると思うのですが、好きなライフスタイルを実現するために、家の全てを自分たちでカスタムしたかったんです。なので、同居人も、家も、自分で選べるルームシェアという暮らし方を選択しました。
シ)ルームシェア生活は気に入っていますか?
藤)元々定期借家2年の家だったのですが、2年だと短すぎると感じて、契約する際に交渉し、3年に伸ばしてもらって住んでいます。既にもうすぐ2年経つので、残り1年。出来れば次も更新して6年住みたい、出来ればさらに更新して9年住みたい、というほどに気に入っています(笑)。
5LDKの一軒家で家賃が21万円、駅から徒歩15分。やや遠いのはデメリットですが、バス停も近くにあるので、許容範囲内です。全ての個室が6畳以上の広さがあって、LDKが14畳、加えて納戸や収納スペースも充実しているので、これで21万円ならデメリットはささいなことというか(笑)。
個室5部屋のうち4部屋は各々の部屋にして、残りの1部屋をみんなの趣味の倉庫として使っています。広々したリビングがあって、足を伸ばせるくらい広い浴槽と、追い炊き機能のあるお風呂があって、収納もたっぷりでそれぞれの個室もある。一人暮らし時代の家賃より安いのに、QOLは上がっています。快適な家を借りることが出来たので、同居人みんながストレスなく暮らせています。私たちが理想とするライフスタイルにぴったりの住まいですね。
友人同士はNG、兄弟はOKなルームシェア可物件の実態
シ)9年も住みたいと思える暮らしって、中々簡単には出会えないですよね。やはり今のお部屋を見つけるのは難しかったですか?
藤)まず、ルームシェア可の物件が本当に少ないんですよ。3~4人で暮らすことを前提として建てられた物件は殆どがファミリー向けにつくられているので、4LDKでもひとつは子供部屋用に作られた小さな部屋だったりして。それだと友人同士で借りるには難しいですよね。
賃貸のポータルサイトを見て「ルームシェア相談OK」と書いてあっても、「きょうだいのルームシェアしか認めません」という家主さんも結構いらっしゃって、きょうだいと友人の違いって何?と疑問を感じることもありました。正直、きょうだい=共同生活が上手く行くというのも先入観ですよね。実際に私は過去に妹と住んでいて、価値観が違いすぎて2ヶ月で破綻した経験があるので(笑)。
シ)兄弟でも友達でも共同生活において大切なことは、血縁ではなく価値観などになりそうですよね。
藤)そうですね。私のようなケースもあるので、きょうだいだから安心ということではないと思います。きょうだいである妹との生活は上手くいかなかったけど、赤の他人である友達とのルームシェアは9年住みたいと思うほどに充実していますし。それでも何とか選択肢が少ない中で4人で手分けして探した結果、探し始めから2ヶ月ほどで今のお部屋と出会いました。もっと時間をかけてゆっくり探すつもりだったのですが、今の部屋を見つけた時期が11月半ばで、年を越すと引っ越し料金が高くなるじゃないですか。 「想定より早く理想の物件が出てきたね、家の初期費用大丈夫か、引っ越し費用大丈夫か、よし行こう!」みたいな感じで、最後は勢いで決めてしまいました(笑)。
正直、部屋探しは「運」要素も大きいなと感じました。審査は私がフリーランスということもあり、一度落ちてしまったりと多少手間取ったので、「シェアカリ」さんのように、審査の部分でも親身に相談できる存在があるなら、もっと早く知りたかったなと思いました(笑)。
ルームシェアの入居審査は厳しいってほんと?
シ)ありがとうございます(笑)。
藤)今のお部屋は代表契約で借りているものなのですが、本当は入居者全員が主契約者(世帯主)となる「連名契約」で借りたかったんです。例えば家賃補助や会社の福利厚生を利用しようとした場合、世帯主、あるいは世帯主と同じ名字でないと福利厚生が適用されないケースが多いそうなんです。なので連名契約にできないかたずねてみたんですが、私たちの場合は断られてしまいました。やはり、連名契約可能なお部屋って数が少ないのでしょうか?
シ)現状、賃貸市場において「連名契約」の浸透度は低く、ルームシェアでお部屋を借りる場合8割が「代表契約」残りの2割が「連名契約」が適用できるといった印象です。さらに、「連名契約」の許可がおりる条件の多くが、「婚約者同士」や「夫婦での共同生活」に絞られてしまいます。
一方シェアカリでは、結婚という共同生活のあり方だけでなく、趣味や価値観の一致した非血縁者同士の共同生活など、生活における幸せの形は今後更に多様化していくと考えています。多様化するあらゆる共同生活に対して、貸し手も借り手も安心して貸し借りができるような仕組みを作っていきたい。そう考えた時に、連名契約に特化した「シェアカリ保証」の開発にたどり着いたんです。
藤)私が連名契約を断られた理由として、入居者全員が主契約者となる場合、誰か1人が退去した場合の家賃の支払いなどを考えると、大家さんのリスクが高くなってしまうから、ということでした。
シ)シェアカリ保証では、誰か1人が抜けるリスクを想定して、入れ替え希望が発生した際のサポートを充実させています。ルームシェアで貸し出す事を躊躇う理由の多くが、「途中退去による滞納」「勝手に転貸を繰り返される」「退去時の残置物などトラブルの責任の所在が不明確」な点です。こうした躊躇いポイントを、シェアカリ保証があるからルームシェアで貸し出しを許可してもいいなと思っていただけるように、管理会社、オーナー様に寄り添いながら改善を重ねて行く予定です。
藤)連名契約でお部屋を借りる事ができるようになると、借り手にとっても嬉しいですよね。
Twitterでルームメイトの価値観を確認
シ)ルームシェアは部屋探しに加えて、審査や契約周りをどうするのかしっかりと考える必要があるんですよね。一致団結して部屋探しができた今のルームメイトとはどうやって出会ったのでしょうか?
藤)最初に話した通り、現同居人の一人でフリーランスの子が将来不安というツイートをたまたま見かけて、一緒に住もうと声をかけたのがきっかけです。私もフリーランスなので、フリーランス二人だと審査の不安と、後は二人より人数が多い方が喧嘩にならなくて良さそうだね、という事から他のオタク友達に声をかけました。結果的に、フリーランス二人、会社員二人の計四人でルームメイトが決まった流れです。
シ)実際住み始めてみてどうですか?
藤)四人って凄いバランスが良いなと実感しています。例えば二人で住んでいると、一人が風邪をひいた場合、残りの一人が家事を全て行い負担が多くなってしまう。でも四人で住んでいると、誰か一人が倒れても他の三人で家事を分担して行える。誰かが倒れても、残りのみんなの負担が重くならない範囲で支え合えますよね。
シ)たしかにたしかに。一対一の人間関係より、一対複数の方が関係が良好に進む場面が多そうな。
藤)そうなんですよね。例えばパートナーと暮らしていた時、二人だからこそ生活の不満は相手にぶつけるしかなくて。私の場合は一対一だと、「何でやってくれないの」みたいに生活の不便の原因を相手に押し付けてしまいがちだったんです。相手が好きな人だから余計甘えが出てしまっていたというのはあるかもしれないですけど。。
シ)面白い考察ですね。そもそもルームメイトとパートナーとの違いって何でしょう?
藤)パートナーと違ってルームメイトには、「私の事好きだったら言わなくても察してやってくれるでしょ」という謎の甘えがなく、期待を押し付けずにいられるところです。ルームメイトは友達だけど他人なので「察して欲しい」ではなく「説明をする」よう心がけています。「私は今こういう状態なので、ここはサポートしてほしい」とか「今ここは問題が起きているから、ここは直してほしい」とか、わかってよ、じゃなくて、しっかり言葉にして伝えるようにしています。
シ)なるほど。友達だからこそ甘えて期待せずに、伝える努力をされているんですね。一方で、友達だからこそ言いたい事が言えずにモヤモヤしている人も多いはず。Twitterを通じての友人関係なのに、なぜ言い合えるほど信頼出来る関係を築けたのでしょうか?
藤)私、共同生活において価値観の一致は大切だと思っていて。
普段からその人のツイートなどを見ていると、その人の人となりが透けて見えてくる部分もあるじゃないですか。例えば、Twitterで話題のニュースに対して凄く下世話な反応をしたり、好きなアイドルの応援のスタンスが違って、こちらの価値観からすると「クソリプ」を飛ばしている人だとかは、ちょっと一緒に暮らすのは無理かも……と思ったり。社会との向き合い方、人との付き合い方、物事の捉え方など、Twitterを通じて今のルームメイト達の価値観がある程度わかっていたので、信頼はもとから備わっていたのではと思っています。
シ)確かに、最近Twitter上で「誰か一緒に住もう~」ってゆる募している投稿はチラホラ見かけます。実際にTwitterで声をかけて住み始めるまでに周囲の反対などはなかったのでしょうか?
藤)反対、ありましたよ。声をかけた友人の一人が、ご両親の反対によって話が流れてしまったこともありました。女性だからというのもあるかもしれませんが、ご両親からすると、同性同士のルームシェアをすることで婚期を逃してしまうんじゃないか?という不安があったようです。ルームシェアはやはりまだ世間ではマイナーな暮らし方なので、理解を得る事が難しいなというのはとても感じました。
自立した大人こそ、魅力たっぷりなルームシェア生活を
シ)確かにまだ、ルームシェアのイメージって世間に普及していないですよね。実際にルームシェアをしている藤谷さんだからこそ、世の中のどの様な方にルームシェアの魅力をまず届けたいですか?
藤)将来に不安を抱えつつも、理想のライフスタイルを実現したい大人ですかね。
私は来年40歳になります。フリーランスという働き方は収入にアップダウンがありますし、正直将来に不安があります。この年齢になると、自分がこのままキャリアを積み上げていった際の収入のゴールが予想できるというか……。今から国民的大ヒット作を生み出したら話は別ですが(笑)会社員の方でも40代を迎えると退職金を含めた定年までの収入のことも見通せるのではないでしょうか。将来に備えて貯蓄もしたいし、固定費を下げたいなと思った時に、一人暮らしは効率が悪いような気がして。もっと固定費を下げて、家事の負担を減らして、より仕事や趣味に打ち込める環境を整えたい。そう思った時に、お互い手を組み合って理想の生活を追い求める事が出来るルームシェアという暮らし方は、都合が良い。
シ)そうなんですよね。ルームシェアって都合がいい暮らし方ですよね。一方、この記事を読んでいる方の中にも、大人故に今更他人と共同生活を行う事に抵抗がある方も多い気がしています。大人ルームシェアを成り立たせる秘訣はあるのでしょうか。
藤)「自立」「対等」「生活目的の一致」の3つはルームシェア生活を成り立たせる上で大切なポイントですね。
私たちは「生活固定費を下げて、かつ生活クオリティをあげる」為にルームシェアを始めたので、前提としてみんなの生活の目的が一致しています。目的が一致していると、その目的を達成するために、各々が自立して考えるんです。より理想に近づける為に、相手に甘えて期待するような事はしない。気になったことは直接伝えるし、何かあったら話し合いの時間を設ける。直接集まらなくても、今はLINEなどの便利なコミュニケーションツールがありますし。それに、大人だからこそ細かいお金の問題や言った言わないみたいな些細な事で負い目をつくりたくないんですよね。
もちろん生活をしていると色々と違いは出てきます。ですが、何かあった時は決して誰かのせいにせず、みんなで解決方法を考える。友達以上家族未満なこの関係、よりよい生活を実現するために手を組む、みたいな関係ですね(笑)。
シ)「自立」「対等」「生活目的の一致」とても納得です。一人一人を尊重して、一緒に理想の生活を描いていく、大人ルームシェアっていいな、と改めて思えた時間でした。
【藤谷千明】81年生。工業高校を卒業し自衛隊に入隊。その後さまざまな職を経てフリーライターに。ヴィジュアル系、ヤンキー漫画、ギャル、YouTuberなどが得意。新刊『オタク女子が、4人で暮らしてみたら。』(幻冬舎)、共著に『アーバンギャルド・クロニクル「水玉自伝」』(ロフトブックス)、『すべての道はV系へ通ず』(シンコーミュージック)など。 Twitter ID @fjtn_c
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